就労期失語症者の社会復帰への道すじ

2015年10月4日、岡山リハビリテーション病院とコスモスの共催による第1回失語症復職フォーラムが「就労期失語症者の社会復帰への道すじ」をテーマに、岡山旭東病院のパッチ・アダムスホールで行われました。参加した失語症者とその家族、医療・福祉関係者80人が失語症者の就労・社会復帰に必要な支援のあり方を学びました。 始めに主催者側から岡山リハビリテーション病院の十河みどり院長があいさつ。当院の脳梗塞による入院患者の1/3に失語症があり、リハビリで早期の自宅帰還に導くだけでなく、いろいろな制度を活用し社会復帰を支援するとともに復職に向けて会社や産業医と交渉できるレベルまで踏み込んでいきたい」と改めて失語症者の社会復帰へ熱意を示していただきました。

基調報告「失語症者の社会復帰の現状と課題」

基調報告は当会の伊澤幸洋代表が発表しました。失語症者の社会復帰については就労期失語症者の復職が低水準に留まる現状があり、復職には後遺症だけでなく家庭と地域の支援体制や会社側の理解と配慮が必要になることを指摘。意思疎通可能なレベルの日常会話能力や仕事に応じた活動能力・運動能力を必要とする一方で、心理面や通勤手段の確保における家族の支援、さらに会社側の失語症への理解と職務内容の再検討、段階的な復職スケジュールなどの必要性を列挙しました。

失語症体験談「脳卒中の発病から社旗復帰を果たすまで」

失語症から復職することができた当会会員の村木芳宏さんは「脳卒中の発病から社会復帰を果たすまで」と題して体験談を語りました。その中で村木さんは平成15年3月に左脳内出血で倒れ失語症と右半身麻痺の後遺症が現れたが「1年しっかり休んでから来てください」という上司からの言葉もあり、10カ月の入院と2カ月の自宅リハビリを経て1年後に復職したことを紹介。現在はかなり流暢に話せるが「当時の自分はちゃんとしゃべっているつもりだったが周りは理解できなかったようです。今でも専門的な言葉がとっさに出てこないこともあります」と振り返りました。 通勤は自宅の総社市から職場の岡山市北区中仙道までの遠距離を左半身で操作できる改造車両を運転しているそうです。倒れる前は自動車検査員だった業務は、帳簿や部品の整理、片付け全般に変わりました。最後に村木さんは「こういう病気(失語症)があることは倒れてから初めて知った。自分の経験を生かしてほかの失語症者の役に立ちたい」と思いの丈を述べました。


失語症復職フォーラム 一覧

2016年10月8日
第2回「失語症の人たちへの社会的支援」

2015年10月4日
第1回「就労期失語症者の社会復帰への道すじ」